最近、スーパーで肉を買うときは100g100円以下のものしか買わないようにしている。近くのOKストアに行ってしまえば色々な肉を買えるのだが、レジ袋をゴミ袋と利用している身にとってはOKストアの有料レジ袋は困る。というのは言い訳で若干遠いから面倒なのである。よって徒歩で行けるスーパーを多用しているわけだが、100g100円以下となるととりもも肉しか選択肢がないのだ。うまいから全く文句はないのだが、たまには豚肉を食べたい!と思っているところなんと豚肉が100g100円以下だったのだ!家に冷凍鳥もも肉があるにも関わらず即買いしてしまった。明日は豚肉のソテーか。なんて楽しみなのだろう。なんて妄想に耽っていた。
ポークジンジャーへの憧れ
シンプルに塩こしょうだけの味付けでいくつもりのだが丁度ショウガが冷蔵庫にあった。クックパッドで「豚肉 しょうが」で検索をすると目に飛び込んできたのだ、ポークジンジャーが。ポークジンジャーといって特に思い出があるわけでもないし、これまで生きてきた25年近く、口にしたかさえ怪しい料理である。しかし、そのときの私の目には魅力的に映ったのである。
「ポークジンジャー。なんて素敵な響きなんだろう。きっと美味しいに違いない!」
これが悲劇の始まりである。
朝から下ごしらえをするという用意周到ぶり
クックパッドのレシピに「たまねぎをすりおろしたのを肉につけると美味い。一時間は最低、できれば三時間がベスト」なんて書いてある。素人の私はこう考えたのだ。
「もっと長時間漬ければうまーなんじゃね?」
運悪くこの日は1時間ばかし遅く出社できる日で時間に余裕があった。早速たまねぎをすりおろた。朝から涙目になりながら一心不乱にすりおろした。今日は最高のディナーだ。なんてこのときは思っていた。まさかあんなことが起きるとは予想だにしていなかった。
Let's cooking!!
帰宅して早速料理を開始。まずはたっぷり12時間近くたまねぎに漬け込んだ豚肉を取り出す。コーティングされたたまねぎ君達は丁寧に剥がしてあげた。残されたたまねぎとすりおろしたショウガをまぜまぜして醤油、みりん、酒、ハチミツをブレンド。見た目はなかなか上手そうだ。そして肉を焼く。両面を焼いたらソースをイン。完成である。
盛りつけ時にふと思った。
「なんか見た目、すごいまずそう!!けどきっとおいしいよ!」
今は思う。料理において見た目は大切であると。
実食!!
「実食!!」の元ネタはなんだったのだろうか。テレビ番組の何かだったと思うのだが、何か思い出せない。
とにかく実食である。見た目がまずそうなポークジンジャーのまずはソースを一口。ハチミツを入れすぎたせいか甘い、甘すぎるぞ。しかしショウガが入っているため後味は辛い。なんという組み合わせの悪さ。まぁ肉が美味しいからいいやと思って、肉を食べる。
「なんだこの肉の食感を有した物質は?全く肉の味がしないではないか!」
本当に味がしないのだ。興味がある人は体感して欲しい。豚肉の味なんてそこには存在しない。肉という食感を有した何かがそこにあるだけなのである。ここからは完食までは苦痛であった。せっかく作ったものを残すわけにはいかないし、お椀に山盛りにした白米が無理矢理にでも食えと私に訴えかけてくる。なんとか胃袋に詰め込んだが、最後に運悪く残ってしまった豚肉の脂身は強敵だった。最後の一口を食べ終わった時、心の中でこう思った。
「グッバイ、脂身」
教訓「肉にたまねぎすりおろしを漬けすぎるな!」
調べてみるとたまねぎの酵素の働きで肉を柔らかくしてくれるらしいが、漬け過ぎはダメなようだ。しかしふと思う。肉は柔らかくなかったぞ?と。結局無駄に手をたまねぎ臭くしただけ、なんて悲劇的な一日だったのだろう、と一日で2回の涙を流しそうになった。だが思う。この経験も未来の糧になるだろうと。
糧になんてなんねーか!あぁ、それにしても不味かった!